走馬灯かよ。

30代既婚子なし女が過去を振り返ったり日々思うことなど。

夫との出会い。

夫との出会いはとあるマッチングアプリ

カレーと同時進行していた相手こそが今の夫なんだが、メッセージの段階から誠実な感じがひしひしと伝わってきた。私が好きなアイドルの曲を聴いて感想を伝えてくれたり、私が見ているドラマをいちいち見てくれたり。大して話は面白くなかったが、それだけで好印象だった。

 

初めて会った時の印象は「緊張しい」。人とのコミュニケーションが苦手なんだろうなと瞬時に察せられるほどのキョドリ。しょっちゅう途切れる会話。しまいには会話の途中で指のささくれをいじりだす。普段の私ならばもう会う気にはならなかった。

しかし、不誠実カレーの直後だったこともあり、寧ろその姿を「緊張してるんだろうな」と穏やかな気持ちで受け止められることができた。ここで切っていたら私は一生独身コースっぽかったので、やっぱそういうデスティニー的なものってあるんだろうね。知らんけど。

 

余談だけれど、初めて会った時の店はちょうどその一週間前に他の男性とアポったところだった。デジャヴかと思った。

 

いつもは直接会うとどうしていいかわからずメッセージのやりとりが減っていくものなんだけど、夫は違った。自ら「このまま今まで通りメッセージは続けたい」と志願してくれたのだ。そこでも好印象。

 

次に会ったのは群馬県の洞窟。二回目からぶっ放している。(私の好みを考えて目的地を探してくれた。つまり私がぶっ飛んでいる)

この二回目は、実は日付をずらしてもらった。何を隠そうカレーと久々に会う約束がその前日にあり、まだカレーに若干の未練があった私はカレーを優先してしまった。結局は天使のお陰で完全に終わることができたけれど、もしあそこでカレーと会ってしまっていたら夫との二回目はなかったかもしれない。ますます天使、GJ。

 

迎えに来てくれた夫の車には、飲み物やら食べ物やらが完璧に用意されていて、ドアを開けた瞬間に「おもてなし!」と心の中で叫んだ。

長い道中で飽きないようにと、張り切ってプロレス雑誌など買っておいてもくれたんだが、私は「スポーツは嫌いだけれど、プロレスはなんとなく見ていられる。でもルールは知らないし詳しくもない。ただなんとなく他のスポーツよりは好きなだけ」と話していたのだが、夫のなかでは「彼女はプロレスが大好き」と変換されてしまっていたようで、なんだかぐいぐいプロレス談義をされた。(夫はプロレスが大好き)

というか車中で雑誌なんて読めない。酔う。

 

夫は車の運転が苦手で、今は私が指摘したので改善されているんだが、その当時はギリッギリに車間を詰めて止まる癖があった。さすがに直接会って二回目、しかも悪気はないし私のおもてなしに必死の夫に、そんなことを言えるはずもない。けれども私は乗り物全般が怖くて苦手。このまま死ぬんじゃないかとただ前を見つめていた。それなのに平然とよそ見する夫をぶん殴りそうになった。死の恐怖のあまり、道中だけで疲れてしまった。

 

洞窟でも会話は盛り上がらなかった。というか、夫が物を知らなすぎて盛り上げようがなかった。三途の川というものすら知らなかった。

近くに吊り橋がある!と何度も推されたので吊り橋も渡った。吊り橋効果でも狙うつもりなのか。そんなんしないでも車中で十分ドキドキしている。

 

とまあ盛り上がりは一切ないデートだったが、普段と違うこともあった。私自身が、いつものように猫をかぶって頑張ろうとは思っておらず、頑張らない状態で次があろうがなかろうが流れに身を任せようというスタンスだった。

だからなのか、他の男性とのアポのような気疲れはなく、ゆるーりと楽しめていた。相手に合わせることなく、食べたいものを食べ、見たいものを見る。面白いことには笑い、つまらないものには無表情。(最低)

 

特に何事もなかったのでこのままお別れかと思っていたが、最後の最後、自宅近くの駐車場で告白された。その時の私は「来るもの拒まず去るもの追わず」の精神だったので、それを受け入れた。なんかもう付き合ってみないとわからないし。

 

付き合い始めてからも夫からのメッセージ量は変わらなかった。誠実さも。

一番印象に残っていることがある。毎週末に夫が私の家に来るようになったのだが、ある時「毎週来ているんだし、せめて水道光熱費を払う」と私に言ってきたのだ。なんということでしょう。

その昔、初カレが私の家に入り浸り、半同棲状態になったことがある。ちょうど仕事を辞めてほぼ私の家で過ごしていたその男は、「生活費を半分出す」という発言すらしなかった。それどころか私のパソコンでゲームをしたいと言い、私が断ると「ケチ」と不機嫌になった。クズかよ。

だから、夫のこの申告がとても印象的で、好感度が爆上がりした。もちろん水道光熱費の件は断ったが、それでも「せめて半分出させて」と言い続けていた。

 

自慢じゃないが、夫は婚活女性ウケするタイプではない。

ひょろひょろと頼りなくて、初対面の相手に緊張して指いじりして、ビックリするぐらい日本語力がなく、会話の論点がよくズレる。英単語も読めなければ、「右折」を「左折」と言うほど言葉の間違いが多い。しかも何度訂正しても覚えない。家具の組み立てや配線のあれこれも苦手だ。(これに関しては私の周りにできる男性が多かったからそう感じるだけかもしれない)車の運転は下手だし。

更には38歳にして一度も実家から出たことがない。しかも母子家庭の末っ子長男。地雷臭しかしない。

 

それでも唯一いいところは、その誠実さなんだろうなと思う。

 

共通の趣味も話題もなければ価値観も全く違うので、どうしてずっと一緒にいられるのかわからないが、なんとか今もまだ隣にいる。運転は相変わらず下手だが。